くにたち農園の会について

都市の農地活用×子育て支援で実現する
「生きる力」を育む地域づくり
理事長挨拶武藤 芳暉
みんなで分かち合い、助け合う地域を作ろう!

コミュニティ農園「くにたちはたけんぼ」開園より10年以上の時が経ち、いまでは地域に5つの事業所を抱えるNPO法人として活動の幅を拡がってまいりました。

学生の頃より関わりを持ち、自分自身の居場所としての農地・団体が、いまでは毎年累計1万人を超える人が訪れ、多くの方の居場所の一つになっています。開園当初まだ幼かった子どもたちが、いまでは子どもたちを見守り、育てる側へと成長しているのを目の当たりにし、我々の土に根差した地道な歩みが確かなものであったと感じています。

この10年間大事にしてきた活動の根本は変わりません。
土に根差し、目の前にある大切な資源をできる限り守り、分かち合っていくこと。そして、思い切り遊ぶこと。その結果として、今の活動の拡がりがあると思っています。

世の中では、様々な危機が叫ばれ、恐怖や不安が多く渦巻いている中、文字通り地に足を付けて生きること、そして恐れや不安からの分断を選択するのではなく、お互いを尊重し、歩み寄り、助け合あえる地域、そして個人の在り方がこれからの時代に必要においてとても大事なことだと感じています。

是非、助け合える楽しい地域をつくっていきましょう。

NPO法人くにたち農園の会 理事長武藤 芳暉

武藤 芳暉

私たちの実現したい未来

土に根差し、共に育つ たくましい地域を次世代へ

都心から車で20 分、中央高速道路国立府中インター直下の谷保地域に広がる田んぼと青い空。開放的で豊かな空間は、子どもたちにとってはもちろんのこと、人が生きる上で大切な地域資源です。

身近な自然環境としての農地が存在することは、子どもたちの心身を成長させ、自尊心を育みます。四季を感じられる田園風景が訪れる人々の心を癒し、災害時の避難場所など、いざというときには安全の支えとなります。

私たちの使命

耕そう!遊ぼう!つかみ穫ろう!東京の田畑で育つ生きる力

私たちの農園には、毎年7,000名を超える方々が訪れます。農園だけではなく古民家や団地の認定こども園、ゲストハウスなど5つの拠点を運営し、0歳から年配者まで多彩な人々が地域で安心して過ごせる環境づくりに取り組んでいます。大人も子どもも思い切り遊び、時にはぶつかり合いながらも、日々共に成長しています。

しかし、住宅開発により農地は減り、農業者の高齢化、相続による農地の処分など一個人では到底変革しえない大きな課題を抱えています。特に国立市の水田はこの30年で85%も減少しており、今も減り続けています。東京に残された希少な田園環境を活かし、子どもたちの成長を支援すると同時に、土や自然が豊かに残る地域を未来につないでゆきます。

活動する理由(社会背景)

1. 2023年度の不登校者数(小中学校)は約30万人

出典:令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について 文部科学省初等中等教育局児童生徒課 2023年10月4日

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文部科学省の調査によると、
2023年度10月時点での小中学校における不登校者数は29万9048人
前年度比で22.1%増加しています。

その一方で、フリースクールや子どもの居場所の整備は
民間やボランティアに頼っている実態があり
まだ十分とは言えません。

2. 激減する国立市の田んぼ 都市農地の現状

田の面積の推移(残存率 / 基準:平成2年)

出典:東京都農林水産統計データ令和3年 P2
統計くにたち 2021 P105

グラフの通り、田んぼの面積は1990年から2020年の30年間において東京都で64%、国立市で85%減少しています。

3. 国⽴市⺠の殆どが農地保全を希望、農業・農地に多くの期待

農業・農地への期待

出典:国立市第3次農業振興計画(平成29年) P74

95.3%もの市⺠が農業保全を希望、とくに「今ある農地は出来るだけ多く残してほしい」が全体のほぼ半数を占めています。

また、市⺠の約3/4がその農業・農地に対して「環境の保全」と「新鮮な農作物の供給」を挙げ、いかに現状の⾃然環境が価値あるものか、また都下では貴重かつ宝とも⾔える⽶・野菜の地場農作物の⽣産地としての価値は⼤きいといえます。

4. 日本の若者、“将来がたのしみ”ではない?

2022年に日本財団が6か国の若者(17~19歳)を対象に行った調査では、自身の将来や目標についての質問で、日本が軒並みワースト1位という結果。多くの若者が、将来に不安を抱え、幸福感を得ることが難しい日々を過ごしているといえます。

自身の将来や目標に関する質問で、全ての項目で日本は6カ国中最下位となった。特に「多少のリスクが伴っても、新しいことに沢山挑戦したい」「多少のリスクが伴っても、高い目標を達成したい」は低く、5割を下回ります。

自分の将来や目標について

出典:18歳意識調査 「第46回 –国や社会に対する意識(6カ国調査)–」報告書 日本財団 2022年3月24日

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5. 子どもの頃の体験活動が、物事にチャレンジし、困難を乗り越える力を育む

文部科学省のアンケートでは、自然体験が多い子どもの方が、自然体験が少ない子どもよりも自己肯定感が高くなるという結果が示されています。

くにたちはたけんぼの自然体験!、農的な暮らし・動物とのふれあい、人とのつながりの中で、心と身体の育ちに大切な要素がたくさん含まれています。

自然体験と肯定感の関係(*小学生の場合)

出典:文部科学省 令和2年度「体験活動等を通じた青少年自立支援プロジェクト」青少年の体験活動の推進に関する調査研究
https://www.mext.go.jp/content/20210908-mxt_chisui01-100003338_1.pdf

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私たちの活動

耕そう!遊ぼう!つかみ穫ろう!東京の田畑で育つ生きる力

農園事業代表 小野淳

田んぼや畑で人生の大半を過ごし、子育てをし…というのは私たち日本で暮らす多くの人が積み重ねてきた生き方です。四季折々の行事や言葉もその暮らしのなかで育まれてきました。国立市谷保に残された田畑を最大限に生かし、多くの人々にとって心身に刻まれる農体験を創るのが私たちのミッションです。これからの時代を生き抜く次世代のみなさんに良い形で歴史、文化のバトンをつないでいこうと思います。

「育てる」から「作る」「食べる」までを一貫体験 農体験プログラム

稲作・畑体験親子を対象とした田植え・稲刈り・収穫祭の3 回の体験、大人を対象とした年間9 回の「大人の田んぼ倶楽部」、小麦、夏野菜などの作付けから「いただきます」までの畑体験。餅つきやしめ縄づくりなどの稲作文化体験も。

小麦、染め物、綿紡ぎなど綿と藍を育てて染め物、わた紡ぎ、機織りを体験する「クラフト体験」。家庭でのプチ養蚕体験を通したコミュニティ活動や、会員同士でオン&オフラインイベントを楽しむ「お蚕フレンズプロジェクト」。

コミュニティ農園くにたち はたけんぼ

毎年7000名以上が訪れ、「くにたち農園の会」の代名詞といえる農園。烏骨鶏と馬を飼育。用水には蛙や魚が生息し、農園・子育て両事業の重要拠点として活用。

レンタルスペース畑の家

昭和を思わせる平屋一棟貸しのレンタルスペース。講習会やセミナー等の場として利用可能。草木染や季節野菜の調理等を行う「手しごと倶楽部」も定期開催。

コミュニティ菜園みんな畑

レンタルスペース「畑の家」に隣接したコミュニティ菜園。農具や自家製堆肥の利用も可能なマイ区画に加えて、年間を通じて共に作業する野菜づくりプログラムも。

ゲストハウスここたまや

昭和の趣あるアパートを改修したゲストハウス。学生団体「たまこまち」と協働し、国内・海外からの旅行者を対象に田畑とつながる宿泊・食農観光体験を提供。

子育て事業 子育て事業代表 佐藤有里

生まれてくる命に知り合うことが嬉しく、楽しみに、そんな人との距離が近い地域。この文化は引き継いでいきたい宝物です。温かい地域性を活かしながら、子ども達が自主的に“やってみよう”を育む場が繰り広げられています。0歳から土や空と仲良く、乳幼児期から友達との遊びが学びにつながり、田畑の空間で、新しいチャレンジの奇跡を巻き起こし、「自由さ」や「好き」が育くまれています。

保有資格

認定こども園 かえるの森

「五感をつかって自然を感じ」 「異年齢の仲間と関わりながら」 「のびのびと遊び、学び、育っていく」 そんな子どもたちの「いま」を、大切にしています。対象:3~5歳児

国立市地域子育て支援拠点事業つちのこひろば

気軽に立ち寄れる親子の居場所とし、「あそぶ・まなぶ・つながる」場を提供。わらべうたや音楽遊びの他、近隣公園での出張ひろばにて外遊びも実施。
主な対象:乳幼児親子
活動場所:つちのこや、城山公園

森のようちえん谷保のそらっこ

子どもが育つ3つの間、「時間・空間・仲間」。一人ひとりの「間」を大切に、“楽しい”を生み出す力を育む自然遊びひろば。
対象:幼稚園児~小学生、未就園児親子
場所:くにたち はたけんぼ、及び周辺の公園など

放課後クラブ ニコニコ

畑・生き物・アートをテーマに活動。自然の中でさまざまな個性を持つ友だちとのびのび過ごすことで、自発的に遊びや学びを想像する力を身につけることを目的とした野外放課後クラブ。
対象:小学生
場所:くにたち はたけんぼ

フリースペースはたけんぼ

「安心できるつながりを、自分のペースで」家庭・学校以外に安心して過ごせる「第3の居場所」として平日の午前中、畑で活動。
対象:日中の居場所を探している方(子ども~大人)
場所:くにたち はたけんぼ

旅するがっこう

国立から飛び出して、遠くへ行く企画が満載。北海道で思いっきり森、雪遊び、動物との暮らし、東京近郊の海や山、川下りで力を合わせたり、島の海を満喫したり!身近な自然から大きな自然へ、多様な体験を仲間と一緒に楽しみます。

国立市・谷保地域について

豊かな水源に恵まれて、縄文時代から人々が集まり、農業を営んできた谷保村(現在の国立市谷保地域)。

多々の湧水や多摩川から引き入れた水からなる府中用水や田んぼは、貴重な野生生物の棲家となり、そこに集まる野鳥などの生態系の基盤となっています。

また、稲作を中心とした農家の人々の営みが生態系を支え、そこには自然と人々とが支えあう暮らしが息づいてきました。

昭和初期以降は、一橋大学、国立音楽大学などが創立。1952 年には国立市の前身である国立町が文教地区に制定され、自然と学園都市とが融合した独自の発展を遂げています。

田んぼの風景

「くにたち農園の会」に期待すること 前国立市長 永見理夫

「くにたち農園の会」の皆様には、日頃より交流や体験の場を通して、身近な地域における子育て家庭の支えとしてご尽力いただき感謝申し上げます。

今では当たり前のように実施されているオンラインによる子育て相談も、貴会がコロナ禍当初より他機関に先駆けて導入し、子育て家庭への不安の解消に努めていただいたことは、まさにNPO法人ならではの機動力の高さの表れであったのではないでしょうか。今後も自然を通して人と人を繋ぐ憩いの場所として、規制にとらわれない活動を期待しております。

国立市 年表

古墳時代 下谷保第一号墳 四家在家遺跡
平安時代 谷保天満宮建立(903年)
鎌倉時代 城山、都史跡三田氏館跡(津田三郎為守)
江戸時代 「本田本家」谷保に移住。(重要文化財「薬医門」)
大正時代 箱根土地(株)による100 万坪開発はじまる
1926(昭和元)年 国立駅開業
1927(昭和2)年 東京商科大学(現一橋大学)専科移転
1951(昭和26)年 谷保村が国立町になる(町制施行)
1967(昭和42)年 国立町が国立市になる(市制施行)
2003(平成15)年 ママ下湧水群、常盤の清水、矢川緑地が「東京の名湧水57選」に選ばれる
2006 (平成18)年 府中用水が全国疎水百選に選ばれる

ハケと湧水・用水

立川市から国立市南部、さらに府中へ続くハケと呼ばれるグリーンベルト(崖線)の下にはたくさんの湧水が湧き出ています。都市化による用水の暗渠化が進む中、現在も水草が茂る手掘りの水路「府中用水」は、農林水産省の疏水百選に選ばれました。

ママ下湧水
府中用水本流
トウキョウダルマガエル
ニホンアマガエル
ハグロトンボ
ホトケドジョウ

参加者の声

和久倫也さん

WAKUWORKS(株)代表

国立~谷保の風土に根ざしながら、地域内外の多様な世代の人々~虫や鳥、動物達との農的な活動、素晴らしいです。谷保に住み始める人、谷保に通う人が最近増えてきているように感じます。今年は僕も国立~谷保の農的な活動により参加したいと思っています。

西野耕太さん

西野農園代表

「くにたち はたけんぼ」は、東京でも貴重な田んぼがある国立市で、親子田んぼ体験などお米作りの大切さを伝えることができる素晴らしい場所です。今後も、頑張ってたくさんの子どもたちに伝えていって下さい!!

photo斎藤真里

石村みかさん

フリースペースはたけんぼ 参加者の保護者

娘の不登校がきっかけで「くにたち はたけんぼ」と出会い、様々な企画に参加してきました。経験豊富なスタッフさん達との交流、動物や学年を超えての交流が沢山あります。彼女は心を開き自信が持てるまでに成長してきました!学校へも徐々に行き始めています。

小島さん

つちのこひろば利用者

「つちのこひろば」に行くと、必ずスタッフが迎えてくれ、帰る時には送り出してくれます。初めての子育てで心細い中、私達を待っている人が居るということにどれだけ助けられたか。季節の移ろいと共に子どもの成長を見つめた時間は、私の宝物です。

団体概要

概要

名称 特定非営利活動法人 くにたち農園の会
本部事務局 〒186-0011 東京都国立市谷保5119(やぼろじ内)
(アクセス)
設立年度 特定非営利活動法人内閣府認証取得 2016年12月2日
登記完了 法人設立 2016年12月15日
役員
事務局
理事長:武藤芳暉
副理事長:小野淳
  理事4名
  監事1名
事務局長1名
事業 (1)都市農地を活用できる団体への畑区画貸し出し
(2)畑作・稲作体験
(3)乳幼児、児童の野外体験活動
(4)動物とのふれあい、飼育体験
(5)農地を活かしたイベント活動のサポート
(6)農のある風景・環境の保全
(7)地元農産物の普及提供
(8)都市農業振興にかかわる普及啓発活動
(9)災害時の防災拠点として機能できる施設整備
(10)都市農地を活用した事例の情報発信
(11)子育て支援事業
(12)認定こども園設置法による認定こども園の事業
(13)その他目的を達成するために必要な事業
事業所 コミュニティ農園「くにたち はたけんぼ」
田畑とつながる子育て古民家「つちのこや」
ゲストハウス「ここたまや」
畑つきシェアスペース「畑の家」
認定こども園 かえるの森
関連団体 ㈱農天気
リトルホースとふれあう会
リング・リンクくにたち
森のようちえん 全国ネットワーク
学生団体「たまこまち」
NPO法人 Green conection Tokyo
NPO法人 国立市観光まちづくり協会
定款 定款(PDF)

沿革

2012年 国立市「農業・農地を活かしたまちづくり」事業協議会にて
市民が運営する新しい農園モデルを検討 
任意団体「くにたち市民協働型農園の会」を設立
2013年 コミュニティ農園「くにたち はたけんぼ」開園
農家・国立市・当会の三者による協定にて生産緑地での市民農園としてスタート
2014年 「はたけんぼ」を現在地に移転
「畑を居場所に」をテーマに、田畑とつながる子育て支援事業を開始。「はたけんぼ」で「森のようちえん 谷保のそらっこ」や「放課後クラブ ニコニコ」、リトルホースとのふれあい事業「くにたち馬飼舎」、「親子田んぼ体験」などの親子が楽しめるさまざまな農園イベントを実施。
2016年 NPO法人化
特定非営利活動法人「くにたち農園の会」となる 
2017年 甲州街道沿いの古民家(シェアスペース「やぼろじ」)にて、
田畑とつながる子育て古民家 「つちのこや」開設
(公社)程ヶ谷基金「平成29年度 男女共同参画・少子化関連顕彰事業 活動賞」受賞。
2018年 国立市地域子育て支援拠点事業を受託「つちのこひろば」を開始
2019年 空きアパートを学生団体「たまこまち」とリフォーム
民泊新法によるゲストハウス「ここたまや」開設
都市農地の貸借法により生産緑地を借り受け「田んぼ」が拡大
2020年 「認定こども園 国立富士見台団地 風の子」開設
畑つきシェアスペース「畑の家」開設
多摩信用金庫「多摩ブルーグリーン賞 たまみらい賞」受賞
2025年 「認定こども園 国立富士見台団地 風の子」を「認定こども園 かえるの森」に園名変更

受賞、助成歴

受賞歴

2022年 しんきん圏央道アライアンス、圏央道の宝物グランプリ 2022-2023準グランプリ
2021年 農林水産省関東農政局「ディスカバー農山漁村の宝」優良事例認定
2020年 多摩信用金庫「多摩ブルーグリーン賞たまみらい賞」受賞
2017年 (公社)程ヶ谷基金「平成29 年度 男女共同参画・少子化関連顕彰事業活動賞」受賞。

主な助成・交付金実績一覧

  • ●農林水産省「農ある暮らしづくり交付金・農泊推進事業交付金」
  • ●一般社団法人セブンイレブン記念財団「環境市民活動助成(NPO 基盤強化助成)」
  • ●一般社団法人ハウジングアンドコミュニティ財団「住まいとコミュニティづくり活動助成」
  • ●第一生命財団「待機児童対策・保育所等助成事業」
  • ●日本財団「2021年度助成」
  • ●東京都産業労働局「保育園等による木育活動の支援事業~保育園・幼稚園等で木育を進めよう!~」
  • ●国立青少年教育振興機構「子ども夢基金」
  • ●公益社団法人国土緑化推進機構「緑と水の森林ファンド」
  • ●独立行政法人福祉医療機構「WAM助成」

メディア掲載一覧